オウンドメディアのはじめ方と運用方法【業務リスト付】

  • オウンドメディア
  • コンテンツマーケティング
  • メディア立ち上げ
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オウンドメディアは、自社で所有(=Owned)・運営をし、ユーザーにとって有益な情報発信をするためのメディア(=Media)のことを指します。
このオウンドメディア、全国的な業務のリモート推進や2020年のパンデミックをきっかけに訪問営業の機会が減ったこともあり、新規開拓の方法としても注目を受けています。

この記事でわかること

・オウンドメディアの立ち上げ方と運用のやり方

・発信するコンテンツの種類

オウンドメディアに期待できること

オウンドメディアに期待できることは、大きく分けて3点あります。

見込み顧客の創出

新規顧客の開拓には、自社からアプローチを行う「アウトバウンド型」と、顧客からの問い合わせを狙う「インバウンド型」の2つのタイプがあります。

オウンドメディアは後者で、コンテンツをストックして顧客の興味関心を引き出し、自社のサービスページへ誘導するなどタッチポイントを作れるのが強みです。
検索エンジンからの流入を狙えるため、潜在層へのアプローチにより新たな見込み顧客の創出が可能です。

「アウトバウンドマーケティング」と「インバウンドマーケティング」については以下で解説しています。

ブランディング

オウンドメディアは自社もしくは自社のサービスの認知度を上げたり、イメージアップに繋げたりとブランディングにも貢献します。

広告費の削減

オウンドメディアが成長すると、検索エンジン上位化や被リンクによるユーザーの流入が増えます。広告を打たなくても自社のメディアにアクセスしてもらえるようになることで、長期的に見て経費削減にも繋がります。

業務リスト

オウンドメディアの立ち上げ・運用時には様々なタスクが発生します。
最低限抑えておきたいポイントを以下にまとめましたので、自社のメディア運営にお役立てください。

立ち上げ時
運用時
タスク
・目的の明確化
・ペルソナ設定
・メディアコンセプトの策定
・ベネフィット(提供したい価値)策定
・KWリスト作成
・カテゴリの決定
・コンテンツ制作
・狙った成果(CV獲得や事業貢献等)を出せているか確認
・対策KWの検討/追加
・コンテンツ拡充
・既存コンテンツを必要に応じて修正・グレードアップ

※なお、ここではコンテンツマーケティングに関わることに焦点を当てて紹介していきますので、サイト構築(コーディングやWebデザイン等)については省略します。
サイト制作について知りたい、作り方が分からずお困りという方は弊社で無料相談をお受けしています。そのまま弊社で制作の受託も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
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[1]目的の明確化

まずは、「何のために」オウンドメディアを運営するのか、目的を明確にしましょう。
その目的によって、オウンドメディアが叶えられるものとそうでないものも存在します。

オウンドメディアで叶えられる目的

  • 長期的なユーザー流入経路を確保したい
  • 自社のブランディングをしたい
  • 広告費を削減したい

オウンドメディアには合っていない目的

  • すぐ(短期的)にリード獲得や売上アップさせたい
  • 特定のユーザーにアプローチしたい

オウンドメディアは、すぐに効果が出ることは稀です。
立ち上げから一定期間(検索エンジンからの評価を受けるまで)はなかなか流入数をアップさせるのが難しいため、今すぐに売上を上げたい場合には先述のアウトバウンド型のアプローチ方法を選ぶ必要があります。

そのため、長期的な目的は叶えられるものの、短期的に見てインパクトのある数値を狙うことはあまり向いていません。
すぐに成果が欲しい場合には、Web広告や営業担当者による架電、リストがある場合はメールマーケティングなどがおすすめです。

[2] ペルソナ設定

目的が決まったら、誰にそのメディアを見てほしいかを考えます。
自社のサービスの認知度を上げたい場合は、そのサービスのターゲットをそのままペルソナに設定すると良いでしょう。

自社サービスと直接的には関係ない場合、[3]のメディアコンセプトを決めた後に、そのコンセプトに共感しそうな人物像を描くことでペルソナが見えてきます。

[3] メディアコンセプトの策定

次にオウンドメディアのコンセプトを決めていきます。
コンセプトと言っても、必ずしもおしゃれなキャッチコピーなどを作らずともメディアの情報発信の軸が決まっていればOKです。

下記、コンセプトの例を参考にしてみてください。

  • 営業担当者の悩みを解決するブログ
  • 情報システム部門担当者の悩み解消メディア
  • BtoBマーケティングを成功させるためのノウハウ発信ブログ

コンセプトは、自社が提供できる価値(強みや知見のある業界知識)をもとに決めましょう。

現状、検索市場の約9割はGoogle のアルゴリズムが独占していると言われています。
そのGoogleが2020年12月に実施したコアアップデートでは、

  1. 「専門性」
  2. 「権威性」
  3. 「信頼性」

医療・健康系や金融・経済系、法律系、EC系、マーケティング系のコンテンツを扱うメディアなどが検索順位に影響を受けています。
これらの業種以外でも、今後上記3つのポイントは意識しておいて損は無いでしょう。いつまた同じようなアルゴリズム変化があるとも限りません。

検索市場の利用率については下記記事にて紹介しているので、気になる方は覗いてみて下さい。

[4]ベネフィット(提供したい価値)策定

メディアのコンセプトが決まったら、「そのメディアを通じてどんな価値を提供したいのか」決めていきます。
できるだけ具体的な方がコンテンツ制作に反映しやすくなるので、例えば「ユーザーに感動してもらう、幸せになってもらう」よりは、もう一歩踏み込んだ内容だと更に良いです。

例えば、プレゼント系メディアをやるとしたら「贈り物を選ぶ時間を短縮する」という提供価値でも良いですし、「ギフト選びの時間を楽しくする」でも良いでしょう。

同じ業種・業態のメディアだとしても、提供したい価値によってサイトの見せ方や中身は変わってきます。
「時間短縮」だったら、よりシンプルで分かりやすいUIにする方が効果的でしょうし、「楽しさ」を提供するとしたら、明るくワクワクするようなサイトデザインの方が近いでしょう。

自社が何を提供したいのかによって、適切なサイト構造、デザイン、コンテンツは大きく変化しますので、ベネフィットを決めたら全ての担当者に共有するとブレにくいです。

[5] 対策KWの選定

ベネフィット策定ができたら、いよいよ「どんなKWを対策するのか」決めます。

KW対策については下記にて紹介しているので、ここでは割愛します。

[6] コンテンツの導線設計

KW軸が決まったら、コンテンツの導線設計を決めていきます。それに付随して、コラム自体のカテゴリ分けはもちろん、できればディレクトリ(各コンテンツを置く場所)も定めていきましょう。

想定読者は、どこからあなたのメディアに訪問し、最初はどのページに閲覧するでしょうか。そして、最終的にはどのページにたどり着いてほしいでしょうか。

メディア上でユーザーがコンテンツを見つけるまでに通る可能性がある道を全て整備する感覚で、「どうしたら分かりやすいか」「また来たくなるか」を考えながら、色々な人の意見も聞きながら設計していきます。

上記は、コンテンツマップというものを作ってみると分かりやすいです。下記の「コンテンツマップの作成」箇所に例を掲載しているので、興味があればご覧ください。

[7] コンテンツ制作

コンテンツの器であるサイト自体のことが決まったら、主役であるコンテンツ制作に着手していきます。

一口に「コンテンツ」と言っても、

  • テキストコンテンツ
  • 画像コンテンツ
  • 音声コンテンツ
  • 映像コンテンツ
  • 体験型コンテンツ

などのように、様々なタイプがあります。

目的によって合うコンテンツは変わりますので詳しくは割愛しますが、それぞれのメリットや事例が気になる方は下記記事を参考にしてください。

記事制作について

オウンドメディアの主軸となる記事制作ですが、いくつか種類があります。

  • SEO記事
  • インタビュー記事
  • 記事LP

記事の作り方については下記で詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。

 

[8]メディア・各コンテンツの評価

サイトを公開し、作ったコンテンツのアップが完了したら、各コンテンツの成果を確認します。
ここでポイントなのは、発信したコンテンツが本当にユーザーから求められるものだったのかという点です。

もちろん、立ち上げ段階では正確に評価することが難しいですが、ある程度コンテンツ拡充をし、半年ほど経過しても上位に全く上がってこない場合は、サイト構造もしくはコンテンツの内容を見直す必要があります。

まずはコンテンツ公開後一週間経過してから、その次は一か月、ワンシーズン(3ヵ月)、半年、一年…と、節目節目で定期的に数値をチェックしましょう。

  • 数字の推移(流入やCV数は安定してきたか)
  • 市場的な適正値(KWの検索ボリューム)と比較
  • ページの掲載順位(サーチコンソールもしくはシークレットモードで確認する)
  • 訪問ユーザーがどういう動きをしているか
  • 【BtoBの場合】平日(全国的な営業日)のアクセスをメインに見る
  • 【BtoCの場合】土日や長期休みのアクセスをメインに見る

訪問ユーザーの動きについて補足すると、例えば1記事読むのに3分、記事の主要箇所にいたるまでに1分かかる記事の場合、平均では最低1分以上は閲覧していて欲しいところです。

この条件で平均滞在時間が例えば「15秒」の場合、訪問ユーザーはぱっと見で離脱してしまっている場合があります。

考えられる改善点の仮説としては、導入文が分かりにくい、あるいは検索意図からズレてしまっている等が挙げられます。

上記は一例ですが、このようにコンテンツを評価するためにも、以下の3つのポイントは把握しておきましょう。

  • その記事を読むのに、どれくらいかかるのか
  • メディアの成果が目的に沿っているか
  • 実際の訪問ユーザーセグメントと自社ターゲットにギャップが無いか

補足として、記事の読了時間を計る際には、できれば制作に関わっていない人物やターゲット層に近い人物に読んでもらいましょう。

ポイントは、何も説明せずにただ「これを読んでみて下さい」とページを教え、どれくらい時間かかるか計ります。
読んでみて躓いたところが無かったか等もヒアリングしておくと、コンテンツの質向上に繋げられます。

[9] 対策KWの検討/追加

[5]で決めた対策KWの軸と[8]のメディア評価をもとに、新たな対策KWを追加します。
成果が出ているコンテンツがあれば、そのコンテンツと繋がるようなKWを選定し内部リンク設置をしておくと、流入数にプラスの効果が期待できます。

[10]コンテンツ拡充

SEOコンテンツの場合は、KWに沿ったもの、それ以外の場合は、必要だと思われるコンテンツの拡充をします。
リード獲得ならホワイトペーパー、売上獲得ならLPでも良いでしょう。

ホワイトペーパ―の作り方については下記にて紹介しています。

 

[11]既存コンテンツを必要に応じて修正・グレードアップ

[9]で得られた評価やヒアリング結果をもとに、今あるコンテンツを修正・加筆するなどしてアップデートしましょう。

運用時は、基本的に[7]~[11]の流れを繰り返す形でOKです。

内製の場合はメディアの責任者がリーダーシップを取り、これらを繰り返します。

また、[7]以降は外注できる業務内容でもありますので、社内で手が回らない場合などは外部に任せるのも良いです。

運用体制について

前述した11項目の流れが必要ということで、「一体どんな組織体制で取り組めばいいのか」気になった方もいるのではないでしょうか。
下記、運用体制についても解説していきます。

必要な人材

オウンドメディアの運用に最低限必要な人材は、「メディア運営責任者」です。

【1】メディア運営責任者

この記事ではサイト制作について触れていませんが、それには理由があります。

WordPressなどの既存CMSとテーマがあれば、システムとデザインはある程度クリアできるためです。

つまり、メディアの管理とコンテンツ制作ができる担当者がいるなら、サイト構築から行う必要もありません。運営担当者が自らコンテンツ制作を行う場合、1人で運営することも不可能ではありません。

ただし、メディアの成長スピードを加速させたい場合や、運営担当者の手が回らない場合は以下の人材をアサインすると良いでしょう。

メディアの質向上・成果アップに貢献する人材

【2】ライター(【1】の担当者が兼任するのもOK)

【3】エンジニア(サイト構築、フロントエンド・バックエンド)

【4】デザイナー

【5】ディレクター

【6】編集者

【7】アナリスト

【8】グロースハック

特に、SEO記事を作成したい場合はその知識のあるライターや編集者がいると心強いです。

また、数字を分析したり、メディアの成長に必要なことを選別できるアナリストやグロースハックのような人材がいると安心でしょう。

コンテンツ運用方法

オウンドメディアの運用では、3タイプのユーザーに向けてコンテンツを拡充していくのがおすすめです。

潜在層のユーザー

まだ課題が明確ではないユーザーのことで、市場としては一番大きいです。
もっとも自社と距離の遠いユーザーとはなりますが、事業成長のためにはこの層からの認知度を上げることが鍵となります。

ユーザーのピンポイントな悩みをピックアップし、どんなことが原因になっているのかを啓蒙するコンテンツがこの層には適しています。

<効果が期待できるコンテンツ>
SEO記事、ホワイトペーパー

顕在層のユーザー

もうすでに課題は分かっていて、その解決方法を知りたいユーザー層のことです。
どうしたらその課題が解決できるのかを解説したコンテンツを作り発信しましょう。

<効果が期待できるコンテンツ>
LP、SEO記事、PR記事、インタビュー記事

比較検討層のユーザー

上記の課題に対し、具体的な解決手段を伝えます。
自社サービスがその課題解決に寄与するのであれば、自社サービスを提案しても構いません。

<効果が期待できるコンテンツ>
LP、サービス紹介ページ

運営代行、外注について

結論から言うと、自社のことを一番知っているのは自社ということで、理想を言えば内製をすることが長期的運用には合っているといえます。

ただ、それには専門知識のあるマーケティング担当者や前述したライターやディレクターなどの制作ノウハウを持つ人間がいる必要があります。

すぐに全ての人材を揃えることは難しいのと、立ち上げ直後や、運用後しばらく同じ悩みを抱えるような状況の際には、第三者の目を挟むことをおすすめします。

相談相手は、社内でマーケティングやメディア運営に知見のある人物でも良いですし、外部の専門家に頼ってみるのもフラットな視点で見られるためプラスの効果が期待できます。

まとめ

オウンドメディアの運用には、メディア自体の目的から運用フローの確立、チーム編成、定期的なコンテンツ拡充とメディア評価など様々なことが必要です。

メディアがなかなか成長しない、目的に沿った成果が出ない…という場合は、自社内でメディア運用に知見のある人物か、近くにいない場合は専門家に相談してみるのも良いでしょう。

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瀧 晃一:ウェブ解析士

記事の投稿者: 瀧 晃一:ウェブ解析士

Appmartで営業を担当しています。 コンテンツマーケやSEOを通して、クライアントのお役に立てるよう励んでいます。 出勤前のサウナと出勤後のビールでアイデアを活性化させています。

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