<この記事でわかること>
「オウンドメディアのPV数の目安って、どれくらいが正解なの?」
そんな疑問を抱えるWebマーケティング担当者も多いのではないでしょうか。
PV数(ページビュー数)はオウンドメディア運用の成果を表す指標のひとつですが、業種や目的によって最適な水準は大きく異なります。また、PV数だけに固執すると、検索意図とずれたコンテンツや回遊率の低下を招き、機会損失にもつながりかねません。
では、成果につながる適切な目標PV数の設定や改善策は、具体的にどのように行えばよいのでしょうか。
本記事では、オウンドメディアやSEO・コンテンツマーケティング支援に実績のあるAppmartの知見をもとに、オウンドメディアのPV数の目安や改善施策、KPI設定のポイントを解説します。
もくじ
オウンドメディアの平均PV数の目安【BtoB・BtoC別に解説】

以下は、BtoBおよびBtoCオウンドメディアの平均PV数の一例です。
種類 | 平均PV数 |
---|---|
BtoB企業のオウンドメディア | 立ち上げ期6ヶ月以内:月間3,000~5,000PV 1年後:10,000~30,000PV 安定期:50,000~100,000PV |
BtoC企業のオウンドメディア | 立ち上げ期:10,000~30,000PV 成長期:50,000~100,000PV 成熟期:200,000PV |
1記事あたり | 公開後90日:1,000〜3,000PV |
ただし、対象市場の規模や検索ボリューム、目的(流入・ブランディング・コンバージョン)によって適正なPV数は変動します。ライフスタイル系記事はビジネス系の9倍のPVが得られるというデータもあり、テーマ選定もPVに大きく影響します。
参照:The data shows it: Article pageviews and their value don’t correlate
目標にするべきPV数については、BtoBのオウンドメディアは専門性が高く検索需要が限定的なため、比較的少数のPVでも成果につながる傾向があります。
一方、BtoCはターゲットが広いため、PV重視の運営には月間10万PV以上が指標になるでしょう。
このように、オウンドメディアの目標設定には検索意図や市場規模を踏まえた戦略的な設計が欠かせません。
そもそもPV数とは?セッション・UU数との違いを理解しよう
PV数は、ユーザーがWebサイトで閲覧したページの総回数を示す指標です。セッション数やUU数と比べて、PV数は「ページごとの人気度や回遊率」を評価する上で欠かせない重要な数値になります。
なぜPV数が重要かというと、アクセス数・流入・サイト構造・回遊率と深く関係しているからです。それぞれの意味を表にまとめました。
指標 | 説明 |
---|---|
PV数(ページビュー数) | Webページが閲覧された回数を示す指標。同じユーザーが同じページを何度見てもカウントされる |
UU数(ユニークユーザー数) | 一定期間内にWebサイトを訪れた“重複のない”ユーザーの人数を表す |
セッション数(訪問回数) | ユーザーがWebサイトを訪れてから離脱するまでの一連の行動を1回とカウントするアクセス単位 |
仮に、同一ユーザーがWebサイトへの訪問1回目に3ページ閲覧し、2回目に2ページ閲覧した場合、
PV数=5(ページ閲覧の総回数)
セッション数=2(訪問回数)
UU数=1(同一ブラウザでの訪問と仮定)
となります。
また、異なるブラウザやデバイスで再訪した場合、UU数は増加し、PV数やセッション数も増える傾向にあります。
例えば、PV数は多くてもUU数が少ない場合は、リピーター中心の回遊型コンテンツである可能性が高いでしょう。
一方、UU数が多くPV数が少ない場合は、新規集客型・直帰率が高い構造とも読み取れます。
同じページをリロードしても1PVとカウントされるため、操作性が悪い導線設計ではPV数が水増しされる可能性がある点も覚えておきましょう。
つまり、PV数はページごとの閲覧回数を明確に示すものであり、セッション数やUU数とあわせて見ることで、アクセスの質と構造を可視化できます。
オウンドメディアのKPI設定丨PV数の社内目標を立てる方法とは?

PV数は、オウンドメディアのKPI(目標に至るまでの中間指標)として有効です。特に運用中期以降では、PV数はセッション数やUU数とともにSEOの進捗を測る中間成果となります。
ただし、PV数だけを追うと、施策の方向性がずれてしまい、CV(最終成果)につながりにくくなる可能性があります。
そのため、KGI(売上・CVなどの最終目標)から逆算し、CV数・回遊率・直帰率なども含めたKPIツリーで全体を管理することが重要です。KPIツリーとは、最終ゴールを数値に分解し「何をどれだけやれば成果につながるか」を見える化した戦略図になります。KPIツリーの例は、以下のとおりです。
<KPIツリー構築の考え方>
(問い合わせ件数:月間30件を目標とした例)
1.ゴール(KGI)を明確にする
KGI(最終目標):問い合わせ件数を月間30件にする
まず、最終的な成果指標を決めましょう。オウンドメディアの運営全体が、このゴール達成に向けて動くことが前提になります。
2.成果に直結する中間指標(KPI)を分解する
次に、KGI達成までの道筋を数値に落とし込みます。
KPI①:CVR(コンバージョン率)の改善
目標CVR:1.0%
必要なセッション数:30件 ÷ 1.0% = 3,000件
→ 問い合わせを増やすには、まず必要な訪問者数を明確にします。
KPI②:流入チャネルごとの目標設定
- 自然検索流入:1,800件
– SEO記事:80本を公開
– 平均PV数:1記事あたり月間25PVを目安に設定 - SNS流入:600件
– 週3回の投稿運用
– シェアされやすいタイトル・アイキャッチを設計 - その他(メルマガなど):600件
– 既存リードへの定期配信
– 開封率・クリック率改善を施策に含める
→ これにより、どのチャネルからどれだけ流入を確保すべきかが可視化されます。
KPI③:コンテンツ施策の質を高める
- CTR(クリック率):2.5%以上
- 平均ページ滞在時間:1分30秒以上
- 回遊率(1セッションあたりPV数):2.0以上
→ ただ記事数を増やすのではなく、ユーザーの行動データをもとに記事内容や内部リンクを改善します。
KPIツリーの利点は以下の3つです。
- 目標→要因→施策が一目でわかるため、チーム全体が同じ方向を向ける
- 数値に落とし込めるので、効果測定や改善がしやすい
- どの施策が弱点かを早期に発見でき、PDCAを回しやすい
KPI設定が初めての場合は、「まずゴールを決める→数値に分解する→施策に落とし込む→図解化し、チームで共有する」という流れで作成すれば、オウンドメディア運営を戦略的に進められるようになります。
PV数はオウンドメディア運用における重要な中間指標です。成果までの道筋に使う数値としてPV数を活用するため、KGIとの連動・KPIツリーによる構造化・フェーズに合わせた指標設計を行いましょう。
オウンドメディア運用でよく使われるKPIについては、以下記事にて詳しく解説しています。
【関連記事】正しい目標設定が成功の鍵!オウンドメディアのKPI設定方法を徹底解説!
オウンドメディアのPV数が伸びない原因とよくある失敗例7つ

オウンドメディアのPV数が伸びない原因には、以下7つの要素が関係しているかもしれません。次の要素を1つずつ改善すれば、アクセス数・セッション数・アクセス解析の精度向上につながりやすくなります。
- SEOキーワードの選定ミス
- コンテンツ品質の不足
- 記事数や更新頻度の不足
- 内部リンクや導線設計の甘さ
- 検索意図とのズレ
- 集客チャネルが限定的
- タイトル・見出し設計の不備
キーワードは、難易度の高いものばかり狙っても検索順位が上がらず、月間検索ボリュームとのミスマッチに陥ります。記事には適切なアンカーテキスト(リンクの内容を表すテキスト)や回遊性がないと、内部リンクの力を活かせません。
また、ユーザーが求める情報とコンテンツの内容が噛み合わないと、直帰率が上がります。SNSやメールなど様々な集客チャネルからの流入を狙わないと、自然検索以外のPV獲得が漏れ落ちてしまいかねません。
では、実際にどのような施策を行えばPV数が伸びるのか、次項で解説します。
オウンドメディアのPV数を増やす具体的な施策3選【SEO・SNS・内部対策】
オウンドメディアのPV数を増やすには、以下の施策が有効です。
- SEO施策で検索流入を増やす
- SNS・外部チャネルを活用し、自然検索以外の流入を狙う
- 内部対策とUI改善で回遊率を高める
それぞれの内容について解説します。
SEO施策で検索流入を増やす
SEO施策を強化することで、自然検索を通じて安定した流入とPV数の増加を図れます。
検索エンジンからの流入では、検索ユーザーのニーズ・検索キーワード・流入経路に対応した記事構成やコンテンツ制作が欠かせません。
さらに、内部リンク設計を最適化すれば、Googleクローラーの巡回効率が上がり、検索順位・流入数・回遊率の向上に直結します。
特にSEOでは、キーワード選定による検索ボリュームの把握と、E-E-A-T強化された質の高い記事が、競合サイトとの差別化に効果的です。
キーワード選定では、検索ボリュームを分析して狙い目のキーワードを選定しましょう。選んだキーワードをタイトル・見出しに自然に配置することで、上位表示が可能になります。
内部リンク設計では、質の高い関連アンカーリンク(ページ内で特定の場所に移動するためのリンク)を追加しましょう。すると、クローラーの巡回率が上がり、重要ページの評価が高まるとされています。
つまり、検索ボリュームに応じたキーワード戦略+専門性や信頼性の高い高品質なコンテンツ制作+論理的な内部リンク構造の3本柱が、SEOによる流入増・PV数向上に効果を発揮します。
SNS・外部チャネルを活用し、自然検索以外の流入を狙う
SNSやコミュニティ・フォーラムなどの外部チャネルの活用により、自然検索に頼らない多様な流入経路を確保することで、PV数の安定的な増加につなげられます。
自然検索だけに依存すると、検索アルゴリズムの変動や競合サイトの台頭によって流入数が不安定になりかねません。
一方で、SNS・メルマガ・フォーラムなどの外部チャネルは、自社でコントロール可能な流入源となり、収益性の高いアクセスを得られます。
例えば、以下のような活用が挙げられます。
- XやInstagram、FacebookなどのSNSとメルマガを連携させてCV率を上げる
- 自社プラットフォーム内でFAQやナレッジ共有を実施し、独自流入を狙う
複数チャネルを戦略的に運用し、PV数×回遊率×CVRの三位一体で成果を追いましょう。
内部対策とUI改善で回遊率を高める
内部対策とUI改善によって回遊率を高める施策は、PV数向上に直結する可能性があります。
なぜなら、ユーザーがストレスなく情報を得られるサイト構造は、滞在時間やページ遷移数を自然と伸ばし、検索エンジンからの評価も高まるからです。特にSEOにおいて「直帰率」や「回遊率」は、ユーザー体験の指標として重要視されており、Googleの評価指標にも影響を及ぼします。
例えば、以下のような施策が考えられます。
- 記事下に関連コンテンツを表示する
- パンくずリストでユーザーの位置を明確にする
- カテゴリ設計を最適化して目的の情報に素早く辿り着けるようにする
- タグ設計や内部リンクの最適化で内部SEOの土台を整える
単に記事を量産するだけではPV数は伸び悩みます。ユーザーの回遊行動を促すサイト設計とUIの磨き込みが、成果の出るオウンドメディア運用につながるでしょう。
【関連記事】【事例有】流入を増やすオウンドメディア記事の書き方と運用のコツ
PV数だけを追わない!他に見るべきオウンドメディアの重要指標とその理由
PV数に加えて、セッション数・UU数・回遊率・平均滞在時間・直帰率・CVRなどをセットで管理すれば、質と量の両面から成果に直結するオウンドメディア運用ができます。
単なるPV数だけを追うと、ボリューム偏重の運用になりやすく、成果(集客やコンテンツマーケティング効果)と乖離しかねません。そのため、以下の指標もチェックしましょう。
指標 | 説明 |
---|---|
セッション数 | 訪問回数を示す。回遊の度合いを測れる |
UU数 | 実際の訪問者数を把握できる。新規流入とリピーターのバランスもわかる |
平均滞在時間、回遊率 | コンテンツの質・構造・内部リンクの評価軸になる |
直帰率 | 直帰率が高い場合、検索意図とのズレや導線ミスの可能性が高い |
CVR | CVRまで含めてKPI設計すれば、問い合わせや資料DLなどの最終成果に直結する |
「セッション数×CVR」では、実質的なCV数を可視化できます。一方、「PV数×クリック率(CTR)」は内部リンクと導線設計の評価に直結するため、両者を掛け合わせる視点がSEO運用のポイントです。
PV数は「入り口」の指標に過ぎません。真に見るべきは、ユーザーがどう動いたか(セッション・回遊・滞在)と、最終的なアクション(CV)につながったかどうかです。この複合指標によって、SEO対策やコンテンツ改善、内部リンク・導線の効果を具体的に計測・改善できます。
オウンドメディアのPV数を確認する方法
オウンドメディアのPV数は、GA4(Googleアナリティクス4)を使って確認できます。
- 【オウンドメディア全体】PV数の確認方法
- 【記事ごと】PV数の確認方法
それぞれの確認方法を解説します。
【オウンドメディア全体】PV数の確認方法
1. 以下リンク先からGA4にアクセスし、左側のタブから「レポート」を選択します。
参照:https://marketingplatform.google.com/about/analytics/
2. 「エンゲージメント」→「概要」画面にある「表示回数」でWebサイト全体の総PV数を確認できます。
「レポート」→「イベント」→「page_view」からも同じ数値を取得できます。期間を指定すれば、月間や週次の推移を確認可能です。

定期的に全体PV数を確認することで、オウンドメディア運用のトレンド把握や、改善施策の効果検証に役立ちます。
【記事ごと】PV数の確認方法
1. GA4にアクセスし、左側のタブから「レポート」を選択します。
2. 「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」から、記事ごとの「表示回数」でPV数を確認できます。

記事単位でPV数と他の評価指標を合わせて分析することで、どの記事が改善や追加投資の対象になるか判断しやすくなります。
オウンドメディアの分析について、詳しくは以下記事で解説しています。
【関連記事】オウンドメディアの分析に必要なツールと4つの改善ポイント!
PV数の目安を正しく理解し、成果を出すオウンドメディア運用を
オウンドメディアの成功には、PV数をKPIとして追いながらも、「検索意図」「コンバージョン率」「回遊率」など多角的な指標を総合的に見る視点が欠かせません。
PV数はあくまで入り口であり、その先の成果を見据えた戦略が重要です。特にBtoB領域では、セッション数やCV数のような中間KPIの設定が成功のポイントです。
“数字に振り回される”のではなく、“数字で意思決定を加速する”ことが、競合と差をつけるためのオウンドメディア運用の本質とも言えます。
目標PV数はあくまで通過点です。その先の価値を見据えたオウンドメディア運用を心がけましょう。
「検索上位の競合他社に比べて、オウンドメディアで成果が出ない」とお悩みのWebマーケティングひとり担当・兼任担当者の方へ。
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