オウンドメディアは単なる情報発信の場ではなく、リード獲得やブランディングなど、企業活動において多様な役割を担う重要なマーケティング施策です。自社の資産としてオウンドメディアを長期的に機能させるためには、役割やメリットを正しく理解したうえで、戦略的に運用していくことが欠かせません。本記事では、オウンドメディアの基本的な役割からメリット、注意点や成果を出すうえで重要なポイントについて解説します。
もくじ
オウンドメディアの役割とは?
オウンドメディアの役割としては、主に以下の3点が挙げられます。
・リード獲得につながる
・リードナーチャリングにつながる
・ブランディングにつながる
本項でそれぞれについて解説していきます。
リード獲得につながる
オウンドメディアは、見込み客を獲得する重要なチャネルです。検索エンジン経由で自社の情報にたどり着いたユーザーの課題解決に役立つ情報を提供することで、自社に対する関心を強める効果が期待できます。
オウンドメディアを通じて見込み客と継続的な接点を持つことで、資料請求や問い合わせ、メルマガ登録など、次のアクションへとつながるケースが多く見られます。広告に依存せず、継続的にリードを蓄積できる点が大きな特徴です。
リードナーチャリングにつながる
獲得したリードが、すぐに商談へと進むとは限りません。リードを商談へとつなげるためにオウンドメディアが果たすのが、リードナーチャリングの役割です。継続的に価値あるコンテンツを提供し続けることで、ユーザーとの関係を醸成し、自社への信頼感を高めていきます。
定期的な記事更新や関連情報の発信が、見込み顧客の購買意欲を徐々に育成します。また、オウンドメディアを通じてリードナーチャリングを行っていくことで、商談化した際の成約率向上も期待できるでしょう。
ブランディングにつながる
オウンドメディアは、企業の価値観を発信することで、ブランディングにも寄与します。業界動向の解説や成功事例の紹介、自社のノウハウ公開といった独自のコンテンツを通じて、自社のイメージを形成していくことが可能です。
ブランドイメージが醸成されれば、価格競争に巻き込まれにくくなるだけでなく、人材の採用にも好影響を及ぼします。企業ブランドの土台として、オウンドメディアは重要な役割を担います。
オウンドメディアとホームページとの違い
オウンドメディアとホームページは一見似ているようで、目的や運用方針に大きな違いがあります。ホームページは主に企業情報の提供や、顧客からの問い合わせの受け皿として機能するのに対し、オウンドメディアは継続的な情報発信を通じて見込み客との関係構築を目指します。
記事コンテンツを通じて、ユーザーの悩みや課題に応えながら、企業への信頼感を高められるのがオウンドメディアの特徴です。
【関連記事】:オウンドメディアとホームページの違いとは?目的・効果・成功事例まで解説
オウンドメディアを運営するメリットとは?
本項では、オウンドメディアを運営するメリットを以下のポイントから解説していきます。
・情報発信できる
・広告費を削減できる
・採用の強化につながる
・自社のノウハウを資産化できる
情報発信できる
オウンドメディアは、自社が伝えたい情報を自由に発信できる場です。外部メディアとは異なり、掲載内容やタイミングをコントロールできるため、継続的な情報提供が可能となります。
ユーザーの興味・関心に合わせたコンテンツを発信し続けることで、検索エンジンからの流入も見込めます。情報発信を通じた顧客獲得は、オウンドメディアの大きなメリットです。
広告費を削減できる
オウンドメディアは、広告費の削減にも貢献可能です。記事が資産として蓄積されるため、自然検索やSNSシェアによる流入が増加し、広告依存せずとも安定した集客が期待できます。
短期的な成果は広告の方が出やすいものの、オウンドメディアは中長期で費用対効果を高められる施策です。結果として、マーケティングにかかるコスト全体の最適化につながります。
採用の強化につながる
採用活動においてもオウンドメディアは効果的に活用できます。企業のビジョンや社風、社員の声、働き方をコンテンツとして紹介することで、応募者の企業理解を深められるからです。
求人票だけでは伝わらない会社の魅力を発信することで、求職者とのミスマッチを減らし、質の高い人材の応募につながります。採用ブランディングの一環としてオウンドメディアを活用する企業も増えています。
自社のノウハウを資産化できる
オウンドメディアは、自社の専門知識や実績を整理し、蓄積できる資産となります。日々の業務で得たノウハウや事例を記事にまとめることで、オウンドメディアそのものが自社のノウハウや価値を体現できるためです。
オウンドメディアを自社の資産として運用していくことで、見込み顧客からの相談が増える、セミナーや講演依頼が舞い込むなど、ビジネスチャンスを生む可能性も広がります。
オウンドメディアを運用する際の注意点とは?
続いて本項では、オウンドメディアを運用する際の注意点を、下記3つのポイントから解説していきます。
・成果が出るまで時間を要する
・運用にあたってリソースが必要
・オウンドメディア以外の施策と連携させる
成果が出るまで時間を要する
オウンドメディアは立ち上げてすぐに効果が出る施策ではありません。検索エンジンに評価されるまでには一定期間が必要であり、安定したアクセス数を得るには継続的な記事更新が欠かせません。
短期的な成果を求めすぎると途中で運用が停滞してしまうリスクもあります。中長期的な視点で腰を据えて取り組む姿勢が求められるでしょう。
運用にあたってリソースが必要
オウンドメディアを成功させるには、企画・執筆・編集・分析など、幅広いスキルと人手が必要となります。社内リソースだけでまかないきれない場合は、外部の専門家や制作会社との連携も検討すべきでしょう。
適切な人材配置を行い、コンスタントに高品質なコンテンツを提供し続ける体制が整って初めて、成果に結び付いていきます。
オウンドメディア以外の施策と連携させる
オウンドメディア単体で成果を最大化するのは難しく、他の施策と組み合わせることが重要です。たとえば、SNSでの記事拡散やメルマガ配信、広告との併用などが考えられます。
施策を連動させることでコンテンツへの初動流入を生み出し、検索エンジンの評価向上にもつながります。運用開始当初は特に他施策との連携を意識することが有効です。
オウンドメディアで成果を出すためのポイントとは?
本項では、オウンドメディアで成果をあげるための6つのポイントを解説していきます。
・ペルソナ設計を行う
・コンテンツの戦略を設計する
・効果的なキーワードを選定する
・他施策とどのように連携させるか設計する
・成果指標を設定する
・社内の運営体制を整備する
ペルソナ設計を行う
読者の属性や課題を明確に定義するペルソナ設計は、オウンドメディアの基盤です。誰に向けて記事を書くのかを明確にすることで、コンテンツの方向性やテーマに一貫性が生まれ、読者の共感も得やすくなります。ペルソナが具体的であればあるほど、成果につながる可能性も高まるでしょう。
コンテンツの戦略を設計する
何となく記事を制作しても、成果は出にくいのがオウンドメディアです。事前に「どのようなテーマで、どのようなゴールを目指すのか」を戦略的に設計することが必要です。
コンテンツの戦略設計を綿密に行うことで、ユーザーにとっても有益なメディア設計が可能です。結果的に、効率的な集客・育成につながります。
効果的なキーワードを選定する
検索流入を狙うためには、適切なキーワード選定が不可欠です。想定読者がどのような悩みを検索するのかを想定し、競合状況も踏まえながら狙うべきワードを決定します。
難易度の高いビッグワードばかりを狙うのではなく、スモールキーワードやロングテールキーワードも選定する戦略を構築することで中長期的な成果を生み出します。
また、キーワードに応じた読者の購買フェーズを想定しておくことで、CTA設計にも生きてきます。最終的に回遊率が高まる効果も期待できるでしょう。
他施策とどのように連携させるか設計する
オウンドメディアの成果は、他施策との連携によってさらに高まります。SNSでの拡散、リスティング広告の活用、ホワイトペーパーなど、集客やリード獲得と連動させる施策を組み込むことが重要です。運用初期は特に複数施策を連動させることで、成長を加速できます。
成果指標を設定する
目標なく運用すると成果の判断ができません。PV数、CV数、滞在時間、問い合わせ数など、段階ごとのKPIを設定しましょう。
定期的に分析を行い、改善を繰り返すPDCAが重要です。具体的な数値を元にした分析を積み重ねることで、より成果の出る施策へと進化させられます。
社内の運営体制を整備する
安定したオウンドメディア運用には、社内体制の整備が欠かせません。コンテンツの企画担当、執筆担当、編集担当など役割分担を明確にし、スケジュール管理も徹底しましょう。
また責任者を置き、運営の意思決定や優先順位付けを行う体制を作ることで、長期的に安定した成果を上げ続けることが可能になります。
オウンドメディアの役割を理解して成果の出る運用をしよう
オウンドメディアの役割を理解することは、適切な運用を行い、成果をあげるうえで重要な要素です。どのような役割をオウンドメディアに持たせるかによって、運用指針も変わってきます。これからオウンドメディアを立ち上げる、またはオウンドメディアの運用を見直したい場合には、ぜひ本記事の内容を参考にしつつ、戦略設計に役立ててみてください。