オウンドメディアの企画はどこまでできていますか?ネット上の企業の拠点としてオウンドメディアが当たり前の時代になった今ですが、「ただ必要そうだから」という程度で企画しても、社内の合意は得られず、立ち上げたとしても中長期的な企画ができてないため頓挫してしまいます。
自社ですべて運用する場合、一部運用を委託する場合に限らず、土台となる企画を盤石にする必要があります。なぜオウンドメディアなのか、現状把握、目的、戦略設計などロジカルな企画を作り出すためのポイントをご紹介します。オウンドメディアの企画担当者になる方は参考にしてみてください。
もくじ
よくある「通らない」理由
なぜ、企画がダメになってしまうのか…
- 広告走らせたりアウトバウンドで営業かけたほうが収益につながりやすい(短期収益の優先)
- 経営層が伝統的・保守的な考えでオンラインマーケティングに詳しくない
- オウンドメディア/コンテンツマーケについてディレクションできる人間がいない(リソース不足)
- オウンドメディア企画者の説明不足
…など、事業計画にも左右されますが、上記のような場合で企画が通らないことが多いようです。
①オウンドメディアの必要性を語れるようにする
まずはオウンドメディアの特長、必要性を説明できるようにしましょう。オウンドメディアは、コンテンツへの検索流入で長期的にユーザーとコミュニケーションをとるコンテンツマーケティングで運用されます。広告とは違い、時間も労力もかかるものです。
▼オウンドメディアマーケティングについて下記で紹介しています。
マーケティング施策のひとつとして事業の一部になるので、企業活動として自社の問題を解決できるものであるか示すと社内の納得感が得やすいです。まずは自社の現状や課題を洗い出し、オウンドメディアの施策が適切か考えましょう。
②現状の課題を洗い出す
自社が抱える課題は何か洗い出しましょう。オウンドメディアは、主に検索流入による集客、ブランディングの効果が見込めるので、下記のような課題感に対して有用です。
- 自社(自社商品)をネットで見つけてもらえない
- 自社/自社商品がブランディングできていない
- リード(潜在顧客/顕在顧客)が少ない
- 電話営業に限界を感じている
- 広告だけでは反響がない
…など
企業によって最終目的は異なりますが、大体このあたりの課題が多いでしょう。
課題を具体的に掘り下げることで、よりオウンドメディアで改善する意味を見つけられるでしょう。
③ペルソナを作る
オウンドメディアの有用性、自社の課題感についてまとめられたら、次はコンテンツマーケティングするうえで必要となるペルソナを作りましょう。誰に訴求するか決めることでどのようなコンテンツを発信するか方向性が決まるからです。
ペルソナ設計は、性別、生活スタイル、趣味趣向、課題感、心理的背景などを設定します。一日の行動パターンや意思決定のポイントなど想像してみてください。具体的なペルソナになるほど、ユーザー目線に寄り添えます。
ただ、最初に設定したペルソナはあくまでも「仮説」状態です。運用する中で、コンテンツへの接触、行動を見て「実は○○な人」といった気づきが生まれ、ブラッシュアップされていくものです。
ペルソナ設計のポイント
- アンケート記事の結果を見る…傾向や声が確認できるので、よりリアルなペルソナ像に
- ヒアリングする…サンプルとして何人かにヒアリングすることで、思考や価値観の解像度が深まる
ペルソナ設計はこちらで、決めたほうが良いポイントを一覧で出しているので、合わせてご参考にしてください。
実際の利用者または近しい人物にヒアリングすれば、ペルソナで設定すべき気づきを得られるかもしれません。
女性向けメディア、オズモールでは「女友達マーケティング」という施策のもと、社内50人の従業員でペルソナ像をそれぞれ作成→共有→お互いの“気づき”を取り入れつつ、より精度の高いペルソナを作り上げています。
▼詳細はこちらで取り上げられています。
東京女性を知り尽くした「オズモール」編集長が語る、友達目線のメディア戦略
MARKETING アプリメディア
④キーワードを選定する
ペルソナ設計ができたら、その人たちの欲求を満たすための情報発信を行います。
ポイントは、キーワード選定です。SEO(検索最適化)といって検索結果上位になるよう記事制作するためです。
一般的なやり口としては、ある程度検索需要のあるビッグキーワードをロングテールの方法でコンテンツ化していきます。キーワードの需要があればあるほど、そのキーワードを軸として分岐するサジェストキーワードがあるため、コンテンツを作りやすいです。
需要が少ない軸キーワードだと、ロングテールも短期間で終了してしまい、Googleの評価もとりに行きにくいでしょう。ペルソナの需要はあるか、オウンドメディアの方針として問題ないかなど調整し、ある程度市場の大きいキーワード軸で狙えると、中長期的にペルソナと関連性の高いコンテンツが生み出せます。
⑤数値のシミュレーション(KPI、KGI)を作る
オウンドメディは長期的に行う施策です。SEOの評価を得て検索上位を狙えるよう、半年、一年と数値シミュレーションを作りましょう。漠然と始めるより、途中目標のKPI、最終目標のKGIを決めておくと、PDCAが回しやすくなります。
①KGIを先に決める
(例)KGI:1年後に100万PV(累計)
②KPIを決める
-
- 初月:1万
- 2か月目:3万
- 3カ月目:9万
…
KPIの数値は12カ月で割った数を配分するのではなく、徐々に右肩上がりになるように設定しましょう。
3か月目、半年を目途にKPIを調整しつつ、目標を達成できるようコンテンツを最適化したり、KPIを達成するための施策を(リライト、SNS配信でチャネルを増やす、メルマガでコンテンツ配信など)打ってみるなどが必要です。
コンテンツマーケティングはすぐ結果がでるものではありません。コンテンツを評価するクローラーが何度か評価して検索順位が安定しますし、数値的な部分はインデックス期間が長いほど稼げるので、とにかく初期はKPIの数字を稼ぐためのコンテンツ制作に注力するのが良いと思います。
同時に、検索流入数を考えて、月どのくらいの検索数のあるキーワードのコンテンツを月何本制作すればKPIが達成できるのか考えられます。KPIをもとに割り出してみてください。
⑥制作陣のリソース確保
コンテンツマーケティングの記事制作は、キーワード選定、アウトライン作成、ライター、編集の工数が必須です。とくにライター、編集者のリソース不足で企画が頓挫するケースはあるので、社内の何人かを巻き込んで行うことは避けられないでしょう。誰に依頼するか、社内外で検討しましょう。各工程で責任の所在を明らかにすれば、業務範囲に混乱しませんし、各人員が責任をもって取り組みやすくなります。
まとめ
オウンドメディアは長期的なマーケティングのため、長期間のメディア運営を想定した戦略シミュレーションは必要でしょう。そして、記事作成するためのリソース確保、継続的に情報発信していくことが重要だと、企画段階で説明できなければなりません。オウンドメディアの企画自体は外部にも委託できるので、ペルソナやシミュレーションなどで躓く場合はサポートを受けながら企画してみてください。